2008年度精密機械工学科卒業式

全体の卒業式後に,各学科に分かれて学科卒業式を行いました.
2009年3月24日(火),14:00~,5333号室

この日は,日本対韓国でのWBC(ワールドベースボールクラッシック)決勝が行われおり,同点で迎えた10回表にこれまで不振だったイチロー選手が,値千金の2塁打を放ち日本に2点が入った瞬間が左下の写真です.右下の写真は,着席後に優勝が決まった瞬間です.

2008卒業式(ヨッシャー!の声とともに) 2008卒業式(優勝!)

卒業証書授与

2008卒業生代表:勝又 啓裕
2008卒業生代表:勝又 啓裕

畠山賞授与

左:松井智くん,右:樋高裕也くん
2008畠山賞 2008畠山賞2

同窓会表彰

2008卒業式同窓会表彰内山くん
2008同窓会表彰:内山了介くん(精研)

学科主任祝辞(中山先生)

2008卒業式祝辞1 ご卒業おめでとうございます.精密機械工学科の教職員を代表してお祝いを申し上げます.また,ご父兄の皆様には,本日の良き日をお迎えになりましたことを心よりお喜び申し上げます.

 さて,卒業生諸君,君たちはこの精密機械工学科で何を学び,何を修得したでしょうか.制御工学を学んだという人,材料力学の知識や実験のテクニックを修得したという人,一人一人記憶に残る専門分野はさまざまでしょう.

 しかし,どのような専門知識を修得したとしても,学部で学んだ知識だけで仕事ができるのはいいところ最初の4,5年です.4,5年たてば諸君の仕事のレベルは確実に高くなり,学部で学んだ知識だけでは不十分で,新たな知識の補充が必要になります.では,大学は卒業してたかだか4,5年しか通用しない知識を授けるだけの場なのでしょうか.

そんなことはありません.諸君は機械工学の専門知識以上に大切なものを修得しているのです.その「大切なもの」は,エンジニアとしての諸君を生涯を通して支えてくれるものであり,社会や企業が大学卒業者に求めているものなのです.では,その「大切なもの」とは何でありましょう.考えてみてください.

 諸君にその答えを考えてもらう間,別の話題を披露しましょう.

2008卒業式祝辞2 私の大好きな日本映画の一つに「男はつらいよ」という映画があります.渥美清さん演じる車寅次郎,通称寅さん,とその家族のどたばた喜劇です.映画の中では寅さんは中学校中退ということになっています.つまり,最終学歴は小学校卒業です.ですから,大学で学ぶことに対する思い入れや大学で学んだ人への畏敬の念には相当なものがあります.この寅さんには満男という甥っ子がいます.シリーズ40作目で,その満男が高校3年になり大学受験を迎えます.その作品の中で大学進学に悩む満男が寅さんに質問をするシーンがあります.そのやりとりはこうです.
「おじさん,大学へ行くのは何のためかな.」
「決まってるじゃないか.勉強するためさ.」
「じゃあ,何のために勉強するのかな.」
しばらく考えて,寅さんはこう答えます.
「人間,長く生きていると,いろんなことにぶつかるじゃないか.そんなとき,俺のように勉強していない人間はさいころを振って出た目で決めるとか,そのときの気分で決めるしかないんだ.ところが,勉強をした人は違うんだ.自分の頭で筋道を立てて,さてこういうときはどうしたらいいかなと考えることができるんだ.だから大学へ行くんじゃないか.」
フィクションの世界の話ですが,寅さんの最後のセリフは大学教育の核心をついています.寅さんの言う「筋道を立てて考える能力」,これこそが先ほど申し上げた「大切なもの」なのです.

2008卒業式祝辞3 筋道を立てて考えると言っても,判断を下すための材料,すなわち情報やデータがなければ正確な判断は下せません.その情報やデータが制御工学や材料力学などの専門知識なのです.大学へ入学して最初の3年間は専門知識を蓄積する期間でした.4年生になり卒業研究に着手して,いよいよ筋道を立てて考える訓練を始めたわけです.入学試験の数学の問題と違って,答えがあるのかどうかもわからない問題や正解が一つとは限らない問題に取り組み,さまざまな専門知識を駆使して,ときには自分でデータをとって,筋道を立てて考えて答えを見つけてきたと思います.卒業研究のテーマやこれから就く仕事の種類によって必要な情報は変わるでしょうが,筋道を立てて考える方法は変わりません.この1年間,諸君が体験したことは諸君のエンジニアとしての活動を支えてくれる貴重な財産になると思います.壁にぶつかったり,選択を迫られたりしたとき,卒業研究をしていた頃の自分を思い出して,どうしたらいいかを考えてください.そして,もしそれでも答えが見つからないときは,卒業研究で諸君を指導してくれた先生を思い出してください.先生だったらこんなときどういうふうに考えるだろうか.今ここに先生がいたら,自分にどんなアドバイスをくれるだろうか.そう考えてみてください.きっといい答えが見つかります.

 今,世界には100年に一度と言われる不況の嵐が吹き荒れています.景気が回復するきざしはまだ見えてきません.不況をもたらすのが人間ならば,景気を回復させることができるのも人間です.特に諸君のような若い人たちの好奇心旺盛な活力が景気回復には重要です.どうか,諸君の若々しい活力をもってメイド・イン・ジャパンのブランド力をさらに高め,技術大国いまだ健在なりということを世界に示していただきたい.諸君のご活躍を心からお祈りいたします.本日はご卒業おめでとうございます.

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