2008年度精密工学専攻学位授与式(修了式)

学科卒業式に引き続き,精密工学専攻修了式が開催されました.
2009年3月24日(火),15:00~,5334号室
その模様をお伝えします.

2008修了式1 2008修了式2

専攻主任式辞(井原先生)

 

2008修了式/井原先生式辞本日は、学位授与、おめでとうございます。

 学位授与までの大学院生活は如何でしたか?学部の時とはまったく異なった、勉強とは言っても研究するという形の勉強は面白かったのではなかったでしょうか? 研究すると言うのは、レールの上を走る勉強とは違って、未開の地を切り開くための勉強ですから、皆さん一人一人が常に一人の開拓者として努力せねばならず、悩んだり徹夜をしたり辛いことが多かったと思います。しかしながら、それだけに研究をまとめ上げたときの、その勉強をやり遂げ修了する時の達成感は格別のものでしょう。その皆さんの苦しみと、片やその達成感を確認できているだけに、共に同じ研究を進めた我々教職員は皆さんを誇りに感じ、自信を持って今日の好き日に皆さんを送り出すことができます。今年も精密専攻は皆さんのような前途有為な技術者を送り出すことができたことを大変に嬉しく感じております。

 さて、大学院を修了した皆さんが明日から直面するのは実社会です。最近の実社会では新人技術者に経済知識を加えようと考えています。管理や会計、経営のさわりとなる基礎知識です。これはおそらく、現在そして今後10年間に起こる変化の兆候を感じる先賢達が、その対応策を取る上で必要だと考えているからだと思われます。では、この10年間に起こる変化とは一体どのような変化なのでしょうか? 経済知識を身につける側の皆さんにとっては、どんな変化が起りそうなのか、を考えておくことは重要なことではないでしょうか?どんな変化が実際のところ起こるのか、小職には正解は分かっておりません。しかしながら、皆さんには是非皆さんなりにそれを考えた上で経済知識を身につける勉強をして頂きたい、と思いますので、今日は小職の現在感じているところを御話させて戴き、皆さんを触発するようなことができれば幸いだと考えました。

2008修了式/井原先生式辞2 御存じのように、これまで製造業は規模の経済を追及してきました。その基本は、規模の拡大がコスト低下につながり製造業の競争力を高めるという考えです。ですから、最初は地域制覇、次いで国内展開、さらに海外進出して、グローバル化という段階を追い求めてきました。その結果、今日の日本の製造業があり、いくつかの企業ではグローバル化するために必要な工場数の上限がなんとなく見えたような状況になっている、と小職は感じています。
この上限の量がみえるという感覚ですが、皆さん、大学入試の受験勉強を思い起こしてください。当初は、勉強する範囲の限界がなかなか分からなくて、勉強量が無限大必要のように思えていたと思います。しかしながら、かなりの程度に勉強を進めると勉強すべき範囲の天井がなんとなく見えるような感じが抱けたのでは無かったでしょうか? 上限の見えた感じを持った人は、次の段階、すなわち、全体を分割して力を入れるべきセグメントを識別する段階に入ることができます。これは競争する場合、非常に大きな強みとなりました。

 これと同じで、グローバル化のための工場数の上限が見えた感じを抱いた、幾つかの企業は規模の経済から次のステップに入る準備が整ったのです。これは不景気な中でも日本企業の得た最大の財産のひとつです。では、次の段階は一体何なのでしょうか? 経済学的にはサービス産業化でしょうか? もし次のステップがサービス産業化であれば、それはガラパゴスと揶揄される携帯電話のような製品作りです。すなわち、需要予測の難しい製品やライフサイクルの短い不安定な市場向けの製品を作り続けてグローバルに競争するという段階です。ところが、なかなか次の段階に移りきれていないのが、今の日本の製造業のある姿ではないか、と感じられます。

 それは、規模の経済のために失いつつあるものが沢山あったからではないでしょうか? その一つが蒲田や東大阪に代表される中小企業群の持つ文化です。次のステップで大切な役割を果たすべき中小企業群の持った文化が縮小しているために、日本企業はなかなか次の段階に入れていない。すなわち、需要予測の難しい製品やライフサイクルの短い不安定な市場向けの製品を作り続け、グローバルに競争する状況に至っていないというのが実情ではないでしょうか?新人技術者に経済知識を付けようとしているのは、この状況を打破するためのように感じられてなりません。

2008修了式/式辞を聞き入る学生 昨今は、需要予測の難しい製品やライフサイクルの短い不安定な市場向けの製品を作るための工場が不足していますが、昔はそうした製品を作る場合、簡単に中小企業群に製造依頼していたのです。中小企業群は工場そのものだけではなく、その中にサプライチェーンが整備されているので、新製品の注文を出すと、直ちに中小企業群の中で、材料も工具も揃い、熱処理や仕上げ塗装も直ぐにできて、お金をかけずに新製品が調達できたのです。これをフレキシブル生産の文化と言うとすると、この日本にはフレキシブル生産の文化が弱体化してしまったので、工場数の上限が見えたグローバル企業が次のステップとなる新製品開発競争で大きなリスクを取らざるを得ない状況にあるようです。これが似たような製品ばかりができる理由でもあり、ここ数年来の技術系派遣社員のゴタゴタの理由でもあり、次の段階に軸足を移しきれていない最大の理由ではないかと、小職には見えます。

 もしこの仮説が正しいとしたら、次の段階にはどんな変化が生じるのでしょうか? グローバル化した企業にとってのフレキシブル生産の文化とはどんなイメージなのでしょうか? たぶん、従来の中小企業群ではスケールが小さ過ぎるきらいがありそうです。ですから、たとえばもう少し大きめのオートメーション化した蒲田や東大阪になるのかもしれません。あるいは地球規模で展開する中小企業群になるのかもしれません。その確かなイメージは未だ不明ですが、この予想では、製造業が生き延びるとしたら確実に今後10年間で新たな変化が現われます。このほかの多くの識者の予想も、これからの10年間の製造業における変化はかなりドラスチックなものになることを暗示しているようです。

 ぜひ皆さんに於かれては、専門知識以外に幅広く知識を吸収し、今後10年間の変化を読み取り、率先して変化に対応する努力をしてください。そして変わるものに悪戯に翻弄されないように注意してください。そうすれば、前途有為な皆さんのすべてが実社会で輝くことができると信じます。10年後を予測しながら実社会で生まず弛まず精進してください。健闘を祈ります。

簡単ではありますが、以上をもって祝辞に代えさせていただきます。
本日はおめでとうございます。

学位授与式

 

2008修了式/学位授与1 2008修了式/学位授与2

修了生総代挨拶

 

2008修了式/総代挨拶

杉本 真優(理工学研究科 精密工学専攻 博士3年)

2008修了式/総代挨拶/杉本さん桜もほころびはじめ,かすかに春を感じるこの季節に,このような式を催していただき,心より御礼申し上げます.
博士課程後期課程に入学し,もう修了の時を迎えたのかと思いますと,時が過ぎるのが早いということをしみじみと感じさせられます.

この日を迎えるまでに,精密の先生方や事務の皆様には多くのご指導,ご協力を賜りましたことを心から御礼申し上げます.ならびに,つね日頃からお世話になっております研究室の皆さんや家族にも感謝の意を表したいと思います.
中央大学で過ごした数年間,研究を通して,多くのことを学び,探求し発見する喜びを得ることができましたのも,精密の先生方をはじめとする皆様のご指導,ご協力の賜物であると思っています.

今後は大学で学んだことを糧に,より多くのことを学び,社会に貢献できるように,頑張って行きたいと思っています.

最後になりましたが,皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたしまして,挨拶とさせていただきます.

川上 嘉輝(理工学研究科 精密工学専攻 修士2年)

2008修了式/総代挨拶/川上くん本日は、諸先生方、教職員の皆様をはじめ、多数のご家族の方々のご臨席の下、このように盛大な学位記授与式を催していただき、修了生一同、深く御礼申し上げます。そして本日このように学位を授与されましたことはこの上ない光栄です。

卒業を迎えるにあたり、本学を入学してからの6年間を振り返りますと長いようで短かったと感じております。思い起こすと3年前のちょうど今頃、私たちは本専攻へ進学することを決意しました。しかし、いまだ研究を本格的に開始していないまさにその時期に、私たちは何を思い3年間研究することを選んだのでしょうか。それは研究に対する漠然とした期待と純粋な憧れであったと思われます。私たちは大学院に入学してからの2年間、諸先生方の丁寧なご指導の下、論文投稿や学会発表など貴重な経験をさせていただき充実した研究生活を送ることができました。しかし本専攻は精密さの追求を通じ、社会貢献を果たすことを目的としており、知的好奇心を満たし無我夢中で研究するだけで満足してはいけません。私たちは中大生の誇りを持ちそれぞれの立場で、本学で学んだ成果を社会に還元することが責務であると考えており、それが本日授与された学位の重みであると自負しております。

最後になりましたが、これまで御指導下さいました諸先生方、教職員の皆様、共に研究生活を送り励ましあってきた研究生の方々、そして温かくも見守って下さった御父母の皆様に、重ねて心より御礼申し上げ、その御健康と中央大学のより一層の御発展を祈念し、私の挨拶と致します。本日は誠に有難うございました。

三浦賞授与

 

2008修了式/三浦賞 2008修了式/三浦賞/佐藤くん

佐藤 邦昭(理工学研究科 精密工学専攻 修士2年)

ベストプレゼンテーション賞授与

 

2008修了式/ベストプレゼン賞 2008修了式/ベストプレゼン賞/矢ヶ崎くん

修士論文発表会ベストプレゼンテーション賞    矢ヶ崎 義嗣くん(修士2年)

2008修了式/ベストプレゼン賞/佐藤くん 2008修了式/ベストプレゼン賞/草なぎくん

佐藤 邦昭くん(修士2年)        草なぎ 真人くん(修士2年)

同窓会表彰

 

2008修了式/同窓会表彰/矢田くん 2008修了式/同窓会表彰/大森くん

矢田 剛之くん              大森 隼人くん

閉式

 

2008修了式/閉式1 2008修了式/閉式2

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