学科紹介&情報掲示板
2009年4月4日(土)に,6701号室にて「2009年度精密工学専攻入学式」が開催されました.
そのときの模様をお伝えします.
司会:梅田先生
2009年度に精密工学専攻の主任を務めさせていただく松本です.
本日は精密工学専攻にご入学おめでとうございます.今年度は,博士後期課程1名,博士前期課程47名がそれぞれ精密工学専攻に新たに入学されました.特に,今年も継続して博士後期課程への入学者があり,専攻としても大変喜ばしいことであります.今後も,博士後期課程への入学者数を継続的に確保できるよう専攻としても努力したいと思います.
精密工学専攻教職員一同を代表して,新た門出を迎えられた皆さんに改めてお祝い申し上げるとともに,心より歓迎いたします.
本来は,この場の挨拶は辻先生がなされる予定でありましたが,皆様もご存知のように,諸般の事情により急遽私が09年度の専攻主任になり,本日,この場でご挨拶することになりました.そこで,本日の皆様への祝辞として少しお話させて頂きます.
昨年のリーマンショックに端を発し,現在,未曾有の世界同時不況の嵐が我が日本にも襲いかかっています.あれだけ好調であった日本を代表する製造業のトヨタ,パナソニックを初めとし,その業種,規模を問わず殆どの企業の決算が赤字に転落していることは,新聞・テレビ等の報道で皆さんもよくご存知と思います.
この様な厳しい状況の中で,皆さんは,就職するのではなく大学院進学を選択し,今日ここに精密工学専攻の入学式に臨んでいるわけです.言い換えれば,皆さんは2年間の猶予期間を与えられたわけです.皆さんが卒業する2年後,世の中の景気が上向きになっている保障は何処にもありません.一方,皆さんの同級生は,現在,社会人としての一歩を踏み出し,この未曾有の不況という荒波の中で社会人,そして企業人として,多くのことを経験し,皆さんが卒業する2年後には目覚しい成長をとげていることでしょう.このような場で,述べるのはふさわしくないのかもしれませんが,昨今の状況を考えると,ここにいる皆さんの選択は果たして本当に正しかったのでしょうか? その答えは,今は皆さんの誰にも分らないことだと思います,しかし,これだけは言えると私は断言できます.正しかったとすることは可能ですし,当然,正しかったことにしなければなりません.そのためにも,皆さんがなぜ,大学院進学を選択したかを良く考えてください.皆さんは,大学院で研究するために,今,ここに居るわけです.それ故,皆さんがこの選択を正しかったものにするためには,是非ともこの2年間研究一筋,言い換えれば,研究三昧で過ごしてください.しかし,研究三昧といっても,研究をすることはそんなに簡単なものではありません.皆さんは,研究は卒業研究でも行ったと言うかも知れませんが,卒業研究では,単に研究の雰囲気を味わったに過ぎません.本当に研究するためには,多くの能力を磨き,身に着けなくてはなりません.
先ず,研究で不可欠なオリジナリティー,そのためには他人にはない発想力,独創性と言い換えても構いません.それが重要です.しかし,他人にはない発想力を得るためには,それなりの知識も必要です.それは,皆さんが学部の講義で学んできた機械系分野の学問の知識です.もし,皆さんの中で現在または今後,これらの知識が不十分だと感じたら,躊躇することなく,今一度学部での教科書・ノートを開いて勉強し直してください.また,最近の最先端の研究は,非常に先鋭的となり,機械系分野に留まらず,多くの学際領域をまたぐ傾向にあります.それ故,機械系以外の分野の知識も貪欲に吸収してください.
次に研究のために必要な能力として,自ら問題点を見つけ,分析・解決する能力です.この過程では,論理的思考能力も重要となってきます.これらの能力がなければ,研究の進展・成果は望めません.そして,得られた成果を他人に分りやすく説明する能力も重要であり,この能力がないと,せっかくの成果も世の中に情報発信できません.しかし,成果を他人に分りやすく説明するとういことは,自分自身は説明する成果の内容を十分に熟知していなければならないということは,言うまでもありません.そして,最後は,実際に研究を遂行する能力です.この能力がなければ,いくら独創性のある研究でも,工学分野では机上の空論となってしまいます.
最後に重要なのは,自分の研究の位置づけを客観的に知る能力です.研究は,とかく独りよがりになり易いものです.そこで,自分の研究が世の中のどのあたりに位置づけられているか,日頃から注意を払ってください.そして,研究の位置づけを客観的に知るためにも,できるだけ多くの学術論文を読んでください.もちろん,日本語・英語の論文を問わずです.また,研究には再現性が非常に重要になります.いつでも再現性が確認できるようにしてください. そのためにも,各自研究ノートをつける習慣を必ず身に着けて下さい.
皆さんは,以上の能力の基本的な部分をこの2年間で身に着けることができれば,最先端の研究を学部生を指導しながら,自分自身が中心となって遂行でき,それなりの成果を,投稿論文,特許や学会発表の場で世の中に情報発信できます.こうなれば,最初に述べた皆さんの判断が正しかったことになると思います.この様な経験は,今年企業に入った同級生には決してできません.そして,それらの能力は,研究に限らず,あらゆる業種・職種でも必要不可欠であり,いかに不況下であろうとも,それらの能力を備えた人を求める企業は大変多いのです.そして,皆さんが無事社会に出た後,技術者・研究者として勝ち抜いていくためには,身に付けたそれらの能力の精度をより向上させる努力をすれば良いのです.
さて,皆さんが進学する大学院では,学部とは異なります.即ち,皆さんは,精密工学専攻では,学生でありながら重要な専攻のスタッフとなります.皆さんはTAまたはRAをとして,学部・大学院の教育・研究の一翼を担うことを十分に自覚ください.
前期課程へ進学する学生の皆さんも,修士号取得を目標にこれから2年間研究を進めるわけですが,学部の卒業研究では味わえなかった,研究をすることの醍醐味とつらさの一端を感じることと思います.その研究生活を通して,皆さんの中から一人でも多くが卒業後,博士後期課程に進学されることを希望します.
今後2年間または3年間は、皆さんは中央大学大学院精密工学専攻の大学院生としての生活を送るわけですが,この期間が有意義で,実りあるものになるように頑張ってください. そして,皆さんが胸をはってこの専攻を修了されることを期待しております.
最後に,辻研に入る皆さんは,現在,不安に思っているかも知れません.しかし,専攻としても皆さんを全面的にバックアップしてゆきますので安心してください.皆さんは,辻先生が帰って来られたときには,得られた成果を辻先生に報告できるよう頑張ってください.
以上をもちまして,はなはだ簡単ですがお祝いの言葉に変えさせていただきます.
本日は,ご入学おめでとうございます.
松井 智之くんと樋高 裕也くんから答辞がありました.手元に原稿が無いため,樋高くんの答辞のみを掲載します.
本日は、盛大な入学式を開催して頂きまして、誠に有難うございます。
今日という日を迎えられたこと、非常に嬉しく感じております。
これもひとえに、全力で応援し・支え続けてくれた家族、一緒に切磋琢磨した友人、そして厚いご指導をしてくださった先生方のおかげであると考えております。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
さてこれから大学院生としての2年間がスタートしますが、私はこの2年間で「自分の頭で考える」といことを今まで以上に意識し、考える力をさらに培っていきたいと考えております。私は昨年の研究を通して、学部時代と現在の勉強法の違いを改めて確認しました。学部時代はすでに答えの出ている問題の、解法・公式を暗記し、それらを活用することをメインとしていたのに対し、研究では正解のないものに対して、自分で問題を設定し、独自の方法を確立し、自分なりの答え・結果を導き出すことが求められることを実感しました。そしてこの考える対象の違いこそが、まさに学部時代の勉強法との相違点であると私は気付きました。答えの出ていない「真理」に対して、自分の頭をフル回転させ、様々なアプローチを試みることを今後も強く意識していきたいと考えております。
また2年後には社会に羽ばたくということを念頭に、様々なことがらに対して、【主体的】に行動し、自らの行動に責任を持ち、さらには研究室というコミュニティの中で、先輩との関わりや後輩育成を通して【協調性】を高めていきたいと思っております。
これから研究を進めるにあたり、先生方にはより一層のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
短くはありますが、皆様の今後のご健康とご活躍を願い、挨拶に代えさせて頂きます。
19名の中から今回は,特に,新任の新妻実保子先生(左の写真),杉本真優助教(右の写真)を紹介します.
お楽しみの懇親会です.毎年,必ずコーヒー・紅茶・ケーキを囲んで教職員と楽しく歓談タイムを過ごします.