鈴木研究室助教 岡野先生

精密機械工学科に2014年4月に赴任された,助教の岡野太治先生を紹介します.

【経歴】

福岡県立筑紫中央高等学校卒業(19993月)

福岡大学 理学部 応用物理学科卒業(20043月)

福岡大学 大学院理学研究科 応用物理学専攻博士後期課程修了(20093月)

日本学術振興会特別研究員(20084月~20103月)

科学技術振興機構 ERATOプロジェクト研究員(20104月~20143月)

中央大学理工学部精密機械工学科助教(20144月~)

 

【研究】

大学院では生命現象を物理的視点から理解することを志向し,外部刺激によって誘起される同期現象に関して研究を行っていました.コンサート会場などで拍手をした際,手をたたくタイミングが周囲の人と揃っていた,という経験のある人もいると思います.これが同期現象です.各人が自分のペースで拍手をしていても無意識のうちに周囲と相互作用してしまい,タイミングが揃ってしまうのです.自然界では他にも多くの同期現象が見られますが,ここにノイズが加わるとどうなるでしょう?一般的には,ノイズが邪魔をして同期現象は起こらなくなります.しかし,ノイズが有用な役割を果たすケースも知られており,代表的なものに,ノイズがSN比の改善に貢献する現象(確率共鳴現象と呼ばれる)があります.この現象は,もともと地球の氷河期に関する研究に端を発しますが,今では脳や感覚器官,イオンチャネルなど生物の世界でも見られることが知られています.大学院の研究では,同期現象や確率共鳴現象などの知見を活用しながら,神経細胞ネットワークの物理モデルで生じる時間的・空間的秩序構造について調べていました.

その後,ERATOプロジェクトの研究員として大阪大学で合成生物学関連の研究を行いました.大学院までの研究は,生命現象を意識しつつも実際の生物とはかけ離れたものだったので,より生物寄りの研究をしたいと思ったのがきっかけです.生物を構成する細胞は,生命の最小単位だと言われています.細胞の中では非常に複雑な反応が起こっていますが,それらは信じ難いほど精巧・緻密に関わり合い,制御されています.大阪大学では,半導体の製造プロセスで使われる技術を活用して作られたマイクロデバイスを用いて,細胞内部で起こっている反応の高感度検出や理論予測された新奇な現象の実験的検証を行っていました.

中央大学では,マイクロデバイスを活用した新しい生化学アッセイ技術の開発や,人工細胞膜を使った細胞の物理モデルの創成を行います.長期的には,これまでに行ってきた研究や関連分野の知見を集約し,生命システムに倣ったモノづくり・工業技術への応用を目標にしています.

生命システムの理解や工学応用の研究は日々進んでいます.これらの研究は今すぐに人類社会に恩恵をもたらすものではありませんが,その集大成はモノづくりに大きなブレークスルーをもたらすと期待しています.将来のモノづくりに貢献したい方,少しでも興味のある方は,ぜひ鈴木研に足を運んでみてください.

 

【興味のあること】

以前は工作が好きでしたが,最近はもっぱらプログラミングを楽しんでいます.どちらも,自分が思い描いたものを具現化する行為という点で共通しているので,そういったことが好きなのだと思います.プログラミングは,「指導教官に言われたから」という消極的な理由から初めましたが,「実験や解析で楽をしたい」という積極的な(不純な?)目標を持ったことでだいぶ上達することができました.

パターン認識や機械学習にも興味を持っています.プログラミングを通して,モノを認識する・学習するということがどういうことなのかを考えるきっかけになりそうだ,というのがその理由です.学生時代から興味があり「そのうち勉強しよう」と思っていたものの,なにも勉強しないまま今に至ってしまいました.Amazonのほしい物リストに入れた関連書籍は絶版になっている始末です.「そのうち始める」だといつまでもやらないので,「近々」始めるつもりです.

そのうち始めたいと思って実現できていないことに,Javaの勉強もあります.今はMATLABをメインにプログラミングをしていますが,いつかJavaに手を出したいと思ってから数年が経ちました.これはそのうち始めます.

 

 

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